学生たちに単位換算器の作り方を指導

2020年6月23日

rbthdr

自ら作り出す教材

かねてから学生たちに、役に立つ教材を紹介してほしいという教官たちの要望を受けていました。

単位変換器の試作品を見せると、ある教官が「自分も小さいころは単位の計算が苦手だった。だから、これは、カンボジアの子たちにはとても役に立つものだ。」と喜んでくれました。

事前準備

カンボジアでの教材を作る時のテーマは、何といっても身近なものでできることです。

材料は、一人分厚紙16cm×21cmのみ。使う道具は、カッター・定規・のり、カッター版。

厚紙は、A0の841×1189で、1枚1200リエル(約35円)。

これ一枚で、一クラス23人分が十分作れます。

指導時間短縮のため、あらかじめ必要な大きさに切っておきます。

全員に達成感を持たせるためには、こういう教師の準備はいつでも欠かせないものです。

そこで、今回、2年生の2クラスにて、各々2時間の計画でこれを製作及び活用方法の指導をしました。

学生たちの取り組み

授業の導入では、まず学生たちの興味を高めるために、㎥→㎤・kl→dlなどの難しい単位の変換の問題を考えてもらいました。

突然の出題に、頭を悩ましている学生たちに、教室掲示用として段ボールで作った単位換算器を提示しました。

中央の数字が並んでいる部分が左右にスライドする仕組みになっています。

そして、容易に換算して見せた上で、単位の仕組みは相互の位の関係で成り立っていることを説明しました。

m(ミリ)、C(センチ)、d(デシ)、da(デカ)、h(ヘクト)、k(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ) すべて10の3乗区切りで成り立っています。小さいほうに行くと、マイクロ、ナノ、ピコとなります。
教室用に段ボールで作った大型の単位換算器

(ここでまず驚きの声が上がります。)

大きい単位から小さい単位に、またその反対にも換算できることを実例で示した上で、「これでは持ち運びできないので、今日は携帯版を作りましょう。」と言って、ポケットからそれを取り出して見せます。

ポケット版

(ここで大拍手が湧き上がりました。)

とてもノリのいい学生たちです。

実際に作ると聞いて、学生たちは大喜びです。

さあ、作業に入ります。

カッター版の1cmの目盛りに合わせて、定規を当てて、決められた寸法に裁断していきます。

真剣な表情で取り組む学生たち

厚紙を3枚重ねて、中央の数字部分がスライドする仕組みになっているので、ミリ単位で正確に裁断しなければなりません。

裁断する作業は、ミリ単位です。

皆、声を発することなく、集中して取り組んでいます。

目を近づけて目盛りを読みます。
手順を間違えている学生に声をかけて回ります。

中にはカッターに不慣れな学生もいましたが、これから自ら教材を作り、人を育てる立場になる身ですから、私はあえて手を貸しません。

器用でない彼は少し苦戦していました。

自ら体験させることが私の基本的な指導方針です。

そうすることで、技術も向上するし、自分の手でまた作り出すことを覚えるからです。

ボロボロでも、よれよれでも、人にやってもらうのではなく、自分で作り上げた喜びを味わってもらいたいのです。

 

さあ、1時間半かけて、作った教材を手にした学生たちです。

やっと、完成。これ、おもしろい。

子ども同様、学生たちも「動きものの教材」が大好きなようです。

出来上がった換算器でお互いに問題を出し合っています。

これは、数学の指導に使えると話す学生。

これを今度は子どもたちに作らせて、難しいと言われる単位の相互関係の理解をさせられます。

ちなみに、カンボジアでは、dm(デシメートル)やhl(ヘクトリットル)など、日本では履修しない単位が指導項目に入っていることを付け加えておきますね。

学生たちの感想

「先生、楽しい教材の作り方を教えてくれてありがとうございました。これを、学校で生徒たちに教えたいと思います。」
「最初うまくできなかったけど、詳しく説明してくれたので、最後には自分で完成させることができました。もう一度、自分で作ってみたいです。」

すべて現場に生かされること

学生たちは、2月から約2か月間の長期間の教育実習に赴きます。

教材を手にして大満足の学生たち

教材製作を通して、学んだことがきっと現場で役に立つと思うし、彼ら・彼女らが育てた子どもたちがまたそれを学び、必ずや社会に貢献していく人材に育つことでしょう。

このようにして、学生たちが指導技術を身に付け、カンボジア全土に広まっていくことが私の願いです。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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