カンボジア労働者の2021年の最低賃金は192$で決着

上記タイトル通り、9月10日、政府・労働者・雇用者の三者で行われた国家最低賃金委員会の会合において、カンボジアの労働者の2021年の最低月額賃金は、

192$

と決定されました。

2020年が190$ですから、額面で2$の引き上げ。

割合では、1%の上昇。

 

実は、この1%という数値に、現在の社会状況が垣間見えます。

この新型コロナウィルスの影響で、すでに多くの労働者が解雇(あるいは一時解雇)されている中で、当初は前年据え置きかと言われていましたが、労働者側の要請によりわずかながらも上昇を勝ち取ったというところでしょうか。

2012年~2015年の数年間で2倍に上昇したころの上昇の勢いは失い、現在はその上昇に歯止めがかかりつつあります。

下記表は、カンボジア労働者の月額最低賃金の推移です。

年度 最低賃金($) 前年比上昇率(%)
2012 61  
2013 80 31
2014 100 25
2015 128 28
2016 140 9
2017 153 9
2018 170 11
2019 182 7
2020 190 5
2021 192 1

外国資本がこぞって、カンボジアに事務所や工場などの設備投資をしていたピークと労働者の賃金が40~60$だったときと一致しています。

何万人も一斉に雇用する縫製工場のような場合には、労働者賃金の上昇により撤退を余儀なくされることもあります。

実際に、日本の企業も、2015年以降、少しずつ撤退し始めています。

利益を上げられなければ撤退

これは、雇用者側にしてみれば当然の論理です。

生産者  少しでも多くの賃金を得たい
雇用者  会社の利益を出したい
購買者  少しでも安いものを買いたい

経済社会においては、この三者のバランスが、常に求められます。

 

月額192$というのは、日本円で2万円足らず。

物価格差がそれほど感じられない中、この給料ではとうていまともには暮らしていけないことは事実です。

そのことを皆さんにも感じていただきたいと思います。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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