【2030年に向けて】カンボジア支援の在り方

2022年4月25日

日本の海外支援に関心を持たれている皆様。

きっと、ボランティアマインドにあふれていらっしゃることでしょう。

今回の記事は、そんな方々にお読みいただき、今後目指すべき支援活動について考えるきっかけにしていただきたい内容です。

日本のODAの在り方に学ぶ

まず、日本のカンボジア支援の取り組みをご紹介させていただきますね。

カンボジアの首都プノンペンから、国道一号線をベトナムのホーチミンに向かって進むとメコン川を渡ることになります。

この場所は、川幅が広くて、かつては人や車を運ぶ渡し船が往来していたところでした。込んでいるときには、5時間ほども待つ必要がありました。

ですから、地元の人々がプレイベン州やスバイリエン州に行くときには、ほんの100㎞の距離でも、一日がかりだったのです。そこへ、日本のODA(政府開発援助)が名乗りをあげました。 このプロジェクトは、足掛け10年にわたる、支援額127,000,000ドルに及ぶ日本最大のカンボジアへの無償資金協力で実施されました。

こちらのドローンからの空撮ビデオで、いかに巨大な橋であるかがお分かりいただけます。

しかし、実際のところは、工事は難航しました。同国で最長となる2,215mの橋をこの場所に設置することは、図面通りにいかないことばかりだったのです。

  • メコン川の水流が強かったこと
  • 乾季の間にしか工事を進められなかったこと
  • 数千の地雷の撤去作業を合わせて行ったこと

それでも、担当した日本の建設チームが結束して、このビッグプロジェクトをやり遂げました。

巨大な橋でありながら、美しさを見せるフォルム。安全性と耐久性を実現する技術と工法。
橋の両端に設置されているカンボジアと日本の絆を象徴するモニュメント。
この一本の橋の建設が、カンボジア国民に与えた恩恵には計り知れないものがあります。

本当の支援の一つのモデル

実は、こののODA取り組みの過程で、特筆すべき点が2つあるんです。

一つは、現地の従業員を雇って工事が進められたこと。
もう一つは、技術供与を併せて行ったこと。

この2つには、とても大きな意味があります。

それは、橋を作って与えるだけではなく、自分たちの力でメンテナンスを行い、維持管理していくことを含めて支援している点にあります。

カンボジア政府は、殊の外、このプロジェクトに対して感謝を表明し、同国で最も流通している500リエル札にこのつばさ橋(2014年完成)やきずな橋(2001年完成)を印刷しました。右下をご覧ください。カンボジアの通貨に日本の国旗が刻み込まれているのがお分かりいただけると思います。

現地では、日本とカンボジアの友好を喜ぶ歌まで作られています。

このことは、日本人として、大変誇らしいことです。

今後のカンボジア支援の在り方

さて、私たちは、これまで『カンボジア支援』として、

・不要になったものを贈る。
・学校を建設する。
・井戸を掘る。

などの取り組みを個人やNGOで行ってきました。

しかし、これからは、もう一歩深く考えていく必要があるように思います。

それは、

その支援が、10年先、20年先を見据えた時に、本当のカンボジアの力になっていくかどうか

を考えた上で行うことです。

残念な例を挙げてみましょう。

例えば、不要になった鍵盤ハーモニカを贈ったところで、それを指導する教師がいなければ、無用の長物になってしまいます。また、モノを贈ると、自国の産業が育たなくなるという側面にも目を向ける必要があります。

学校を新たに作っても、指導する教師がいなければ、子供が育ちようもありません。また、地域や学校が「どうせ、日本がお金を出してくれる。」というような、日本におんぶにだっこ的な考え方を持ってもらっては、自分たちでやろうとする自立心の芽を摘んでしまうことにもなりかねません。

井戸掘りは、別記事にも書きましたが、ヒ素中毒等の問題を引き起こした過去の反省から、水質検査まできちんと行った上で行うことが必要です。

 

いずれにしても、カンボジアは日本のものではありません。

この国は、カンボジア国民にとっての大地であり、将来的には自らの手で国を作っていく方向に向かわなければなりません。

日本とカンボジアをつなぐジョイントプロジェクト

現在、支援に入らせていただいている学校で、2021年6月にトイレの増設をしたいという要望が寄せられました。

コンポンスプー州トロペインコック村にあるBrey Boeng Primary School。

700人の学校に、17名の教師。

私が初めて訪問した時には、使えるトイレは、たったの4つだけでした。

子どもたちは、用を足すのを我慢したり、裏の茂みで済ませたり・・・、健康上、衛生上、問題がありますが、現状では先生方も黙認するしかありませんでした。
古いトイレは朽ち果てて放置されていました。私は、支援するに当たっては、まず学校関係者や地域のコミュニティにトイレ建設に対してどれほどの想いがあるのかを学校側に尋ねました。

なぜなら、日本側でお金だけを出してカンボジア側がそれを受け取るという従来の形の支援では、カンボジアの地域のコミュニティ力が育ちようがないからです。

まず自分たちの手で何とかしようと動き出していただく。

そして、その上で、日本側としても、最大限の協力をさせていただく。

これが、彼らのためになる支援だと確信しているからです。

一見輝かしく見える支援プレート。

しかし、本当にカンボジアのためになってきたかを、今問い直すときが来ています。

支援は、決して支援者側の自己満足で終わってはなりません。

この朽ち果てたトイレを見て、改めて思います。

きれいに維持管理していく力も、カンボジアに持っていただく必要があるのです。

そのためには、自分たちの力でやる機会を奪うような支援は、これからは控えていかなければならないと思うのです。

ひょっとしたら先生方や子どもたちの衛生観念や環境への意識改革もしていく必要があるかもしれません。

学校長のLim先生とも、以上のことを十分ご理解いただいた上で、我々の草の根支援活動は、動き出しました。

まずは、400~450ある生徒たちの各家庭に、資金協力を呼びかけます。

貧しい村でのことですから、それほど大きな金額は集まらないかもしれません。

でも、例えば、一家庭で2,000リエルも負担してもらえば、800,000~1,000,000リエル(800$~1,000$)のお金になります。

トイレの新設と補修には、概算でも約5,000$のお金がかかります。

私たちは、足りない分を支援していけばよいのです。

この形での取り組みの方が、自分たちの手でやったという誇りが持てるし、何にもまして、地域の学校教育への関心度が高まります。

カンボジアでは、家庭の教育力が低いことも課題の一つに挙げられていますから。

なぜなら、学校の先生方、子どもたち、地域の力で作り上げたと名前を刻んでほしいと強く願うからです。

独りよがりではなく、共に取り組み、喜びを共有し合う支援。

これが、今、私たちチアフルスマイルが目指す支援活動の在り方です。

トイレ建設へのクラウドファンディングの時には、多くの方々からご支援を頂きました。

日本のご支援者の応援記事

その結果・・・

現在、子どもたちは、学校では10個のトイレを使用できるようになりました。

トイレの落成式の様子はこちら

こういった取り組みをすることで、我々の支援活動を現地の方々にもご理解いただきながら、カンボジアの自立につながっていくことを願うばかりです。

2030年に向けて、チアフルスマイルは貧困、教育、そして社会の不平等の解消に向けて取り組んでいきます。

*持続可能な開発目標(SDGsSustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,20159月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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